順問題において Sarvas 式を元に電流モーメントから磁場を導出したのと同様、逆問題においては lead field matrix (LFM) を元に測定磁場から電流モーメントを推定する。仮定する電流モーメントの数に応じて逆問題の解は優決定解と劣決定解に大別される。
優決定解の代表は単一電流双極子法であり、臨床応用におけるてんかん焦点の推定や体性感覚誘発磁場の推定では標準的手法となっている [1]。
劣決定解は空間フィルター法 spatial filter、ビームフォーマー beamformer、分散モデル distributed model、 再構成 reconstruction、仮想センサー virtual sensor などと様々に呼称されている。具体的な手法も様々で、近年は adaptive beamformer が好んで研究に応用される傾向にある [2]。手法により呼称が使い分けられていることもあるので、論文などを読む際には引用元をチェックするのが安全だ。
それでは次項から逆問題の議論を始めよう
(引用)
- E Kaukoranta, M Hämäläinen, J Sarvas, R Hari: Mixed and sensory nerve stimulations activate different cytoarchitectonic areas in the human primary somatosensory cortex SI. Neuromagnetic recordings and statistical considerations. Exp Brain Res. 1986;63(1):60-6.
- K Sekihara, SS Nagarajan, D Poeppel, A Marantz, Y Miyashita: Reconstructing spatio-temporal activities of neural sources using an MEG vector beamformer technique. IEEE Trans Biomed Eng. 2001 Jul;48(7):760-71.